帰宅困難③ (某県:某マンション)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・前回のつづき。
埃っぽい空気が黄白く漂っています。
キーンとして音は何も聞えません、殺伐とした不安が心を覆います。
「何か、爆発したな・・・。」
階段の手すりにもたれて体を支え、辺りを見渡すと、周りのビルの窓ガラスが殆ど無くなり、ブラインドやカーテンがそのまま風に靡いています。空中を漂う白いものは、多分近くのオフィスビルにあった無数の書類でしょうか。
道路の方向に視線を移したとたん、惨状に度肝を抜かれて、再び意識を失いかけました。
巨大なクレーターが、道路とそれに接する公園にかけて生成され、その中央から10mを遥かに超える水柱と炎柱が、お互いに巻き付きながら立ち上がっています。陰陽相容れぬものが一体となった、不思議な光景でした。
周囲には、何人かの負傷者が血だらけで蠢いています。虚ろな意識の中で、少しずつ記憶が戻ってきました。
恐らく、下水工事の穴の中に落ち込んだ電柱のトランスが、露出養生されていたガス管と水道本管を直撃したのでしょう。
聴力が回復してきました・・・。
状況が把握できるに連れて、家族のことが心配になってきます。
顔を出していたテラス窓には、既に息子の姿はありません、新聞のメガホンで大声を出すと・・・。
「父さん、何してる?」
振り向くと、きょとんとした表情で息子が立っていました。
「締め出されたんだと思って、玄関開けに行ったんだ、そしたら大きな爆発音がして・・・。」
夏の終焉の太陽が、やがて高度を得て再び盛夏の勢いを取り戻そうとしています。
マンションの発報で集まってきた消防隊も、この惨状に手の出しようがなく、遠巻きにオロオロするだけで一向に動きがありません。
我に返った周辺の住民が、負傷者を肩車にして助け始めました。
上空をヘリの爆音が交錯します、割れた部屋の窓ガラスを片付けながら、息子が呟きました。
「玄関開けに行く前、電柱の作業員と一瞬眼が合ったんだ、爆竹の音に驚いて眼を丸くしてこっちを見てた・・・そのとき電柱のトランスがガクッと動いてユラユラ揺れ始めたんだ。――あの大爆発は、爆竹のせいかも知れないよ。」
それを聞いて、つくづく思いました。――今の世の中、自宅に帰るにもそれなりのルールと常識がある、それを無視すると・・・こんな惨事にになる、と。
当然ですが、フィクションです。悪しからず・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おわり。
埃っぽい空気が黄白く漂っています。
キーンとして音は何も聞えません、殺伐とした不安が心を覆います。
「何か、爆発したな・・・。」
階段の手すりにもたれて体を支え、辺りを見渡すと、周りのビルの窓ガラスが殆ど無くなり、ブラインドやカーテンがそのまま風に靡いています。空中を漂う白いものは、多分近くのオフィスビルにあった無数の書類でしょうか。
道路の方向に視線を移したとたん、惨状に度肝を抜かれて、再び意識を失いかけました。
巨大なクレーターが、道路とそれに接する公園にかけて生成され、その中央から10mを遥かに超える水柱と炎柱が、お互いに巻き付きながら立ち上がっています。陰陽相容れぬものが一体となった、不思議な光景でした。
周囲には、何人かの負傷者が血だらけで蠢いています。虚ろな意識の中で、少しずつ記憶が戻ってきました。
恐らく、下水工事の穴の中に落ち込んだ電柱のトランスが、露出養生されていたガス管と水道本管を直撃したのでしょう。
聴力が回復してきました・・・。
状況が把握できるに連れて、家族のことが心配になってきます。
顔を出していたテラス窓には、既に息子の姿はありません、新聞のメガホンで大声を出すと・・・。
「父さん、何してる?」
振り向くと、きょとんとした表情で息子が立っていました。
「締め出されたんだと思って、玄関開けに行ったんだ、そしたら大きな爆発音がして・・・。」
夏の終焉の太陽が、やがて高度を得て再び盛夏の勢いを取り戻そうとしています。
マンションの発報で集まってきた消防隊も、この惨状に手の出しようがなく、遠巻きにオロオロするだけで一向に動きがありません。
我に返った周辺の住民が、負傷者を肩車にして助け始めました。
上空をヘリの爆音が交錯します、割れた部屋の窓ガラスを片付けながら、息子が呟きました。
「玄関開けに行く前、電柱の作業員と一瞬眼が合ったんだ、爆竹の音に驚いて眼を丸くしてこっちを見てた・・・そのとき電柱のトランスがガクッと動いてユラユラ揺れ始めたんだ。――あの大爆発は、爆竹のせいかも知れないよ。」
それを聞いて、つくづく思いました。――今の世の中、自宅に帰るにもそれなりのルールと常識がある、それを無視すると・・・こんな惨事にになる、と。
当然ですが、フィクションです。悪しからず・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おわり。

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